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血ガスの「い」

血ガスとは?

手術室では身近な血ガス。

 

しかし、アセスメントに活かしきれてないのが印象。

 

そこで、

世界でいちばん簡単に血ガスがわかる、使いこなせる本: ナース・研修医のための

読んでみた。

 

とても読みやすかった。

 

そう。

 

優しい。

 

目的

まずは、血ガスを測定する目的は、

 

  1. 酸素化の評価
  2. 換気の評価
  3. 酸塩基平衡の評価
  4. その他(迅速検査として、電解質・乳酸測定など)

 

呼吸

その前に、呼吸の定義。

 

呼吸とは酸素を取り込んで二酸化炭素を吐き出すこと。

 

これを酸素化換気とも呼ばれる。

 

酸素化と換気はほぼ同時に行われ、切っても切り離せない関係。

 

呼吸管理を考えるにあたって、酸素化換気分けて考えることが大事!

 

 ステップ1:酸素化の評価は?

酸素化の評価はサチュレーションやPaO2で評価する。

 

それらの数値が酸素化が悪い患者さんには?

 

酸素投与をする。

 

あるある対応。

 

しかし、Spo2の欠点は最高値が100%であるということ。

 

Pao2が150mmHgだろうと、600mmHgだろうと常に100%であり続ける。

 

例えば、

 

高濃度酸素投与中             6時間後

Spo2 100%          Spo2 100%   

PaO2 600mmHg  PaO2 150mmHg 

  f:id:kannjityou:20170720105848j:image       

PaO2の標準は80~100mmHg

 

標準値は保っているが、明らかに尋常ではないことが起きている。

 

それをSpO2が100%だからと言って見逃してはならない。

 

酸素化の障害には酸素投与は有効だが原因は決して除去されていない

 

 PF比

 酸素化の指標として有名なものにPF比がある。

PF比=PaO2÷FiO2

 

 正常値:400以上

ALI(急性肺障害):300以下

ARDS(重症呼吸不全):200以下

f:id:kannjityou:20170720184532j:plain

 

ステップ2:換気の評価は?

換気の評価はPaCo2(正常値:35~45mmHg)をみる。

 

PaCO2は呼吸回数と一回換気量で調節する。

 

人工呼吸の患者さんでは呼吸回数と一回換気量を調節すればいい。

 

しかし、自発呼吸の場合には主にアセスメントによる異常の把握とその原因の除去に尽きる。

 

f:id:kannjityou:20170720182936j:plain

 

PaCO2に関しては正常値に調節してしまうと病態が悪化することも多いので注意が必要。

 

血ガス(酸塩基平衡)を実際に読む 

まずは血ガス結果をみたらまずは、重要性の低い酸素化(PF比)から評価する。
 
次いで換気(PaCO2)を評価する。
(PaCO270mmHg以上で明らかに人工呼吸が必要などの判断にとどめる)
 
酸塩基平衡は三段階のステップを踏んで評価する(3ステップ法)
 

ステップ1:pHをみる

pHの正常値は7.4±0.05(簡易的に7.4とする)

 

7.4以下ならアシデミア(酸血症)

7.4以上ならアルカレミア(アルカリ血症)

 

ステップ2:PaCO2をみる

ステップ1でアセスメントしたアシデミア。アルカレミアが呼吸性の異常によるものかどうかPaCO2をみて判断する。

f:id:kannjityou:20170720235435j:plain

 呼吸性とは重炭酸が変動すること、呼吸性とはPaCO2が変動すること。

 

ステップ1でアシデミア・アルカレミアに分けた後、

 

アイデミアであればアシドーシスの列をみる。

アルカレミアであればアルカローシスの列をみる。

 

PaCO2が矢印通りに変化していれば呼吸性、そうでなければ代謝性となる。

 

あとは代償反応を理解できれば

 

おそらくばっちりだ。

 

血ガスのいろはの『い』完

 

 

 

 

リハビリスタッフが知っておきたい術前評価6の視点~側臥位編~

手術における側臥位ってなーに。

もくじ

適応

肺や食道などの開胸手術、腎臓摘出術、整形外科股関節手術などでとられることが多い。

手術における側臥位

術中は全身麻酔に加えて筋弛緩が効いているため、自己にて体位を保持することは困難だ。多くの病院で使われているのが若杉氏上肢台と側臥位支持器だ。f:id:kannjityou:20170527204528j:imagehttp://www.mizuho.co.jp/pnet/operating/upload/afb62504a2cc7fe37c77ebcdc2a1cf2a.pdf

製品詳細 | 村中医療器株式会社 | Allen 側臥位用支持器セット

 視点①

患者さんは自分で側臥位を保持することができない
 

 側臥位の実際

実際に患者さんが側臥位をとるとこうなるf:id:kannjityou:20170602121354j:plain

注目すべき点は下側になった側胸部に入れた側臥位枕。

当院では大転子部にも大転子枕を挿入している。

側臥位枕・大転子枕とは

下側側胸部に入れることにより、不安定関節である肩甲上腕関節への負担が減るとともに、肩関節屈曲時に上方回旋した肩甲骨の支えとなっている。

体験してみたが、側臥位枕の有無によって全然安楽感が異なる。恐るべし。側臥位枕。

大転子部への枕の挿入は圧分散が主な役割である。

視点②

✅下側になる体幹・下肢に異常な骨突出はないか?

 

術前評価

側臥位の手術が予定されていれば見ておきたい評価項目を考えていく。

下半身

側臥位は支持基底面が狭く、不安定な体位といえる。

私が側臥位を作成する際に工夫していることは、下半身のポジションだ。

できる限り下側の股関節・膝関節を術野の妨げにならない程度に屈曲させ体位を安定させるようにしている。圧分散にもつながる。

視点③

✅股関節・膝関節に屈曲90度以上の制限はないか?

 

また、上側になった下半身も過度な内転制限があると姿勢が不安定になってしまう。

当院では大きめのクッションを両下肢の間に挟んでいる。

視点④

✅股関節に過度な内転制限はないか?

 

上半身・体幹

上半身は見てわかるように両上肢ともに屈曲位である。おおよそ90度は屈曲位をとる。

視点⑤

✅両上肢の肩関節に屈曲制限はないか?何度までなら屈曲が可能か?

 

肩関節に限ってはとても重要な観察項目である。

実際に肩が屈曲できないために体位作成の際に苦労する症例もある。

上肢が術野の進行の妨げになったり手術時間が延びたり、患者さんに不利益なことが多い。

 リハビリスタッフの介入により肩関節の屈曲が可能になることや、どこまでなら屈曲が可能かなど適切な情報を提供してくれることで、手術自体に非常に有益なことが多くなると思う。

 

また脊柱に側弯があると、側臥位を取った際に手術台との隙間ができてしまい、体勢が不安定になる。

視点⑥

✅脊柱に過度な側弯はないか?

 

触診技術が得意なリハビリ職種ならではの気づきではないだろうか。

 

以上、大まかな情報をまとめてみた。

リハビリテーションの時間内に実際に側臥位をとることも1つかなと思う。

何か懸念事項があれば執刀医や主治医・オペ室看護師に伝えてあげてくださいね。

 

 

 

 

リハビリスタッフが知っておきたい術前評価11の視点~術中体位(①背臥位)編~

リハビリスタッフが術前から関わることは珍しくない。

理学療法士は筋骨格系の知識に富んでいるため、術中体位において安楽長時間の手術に耐えうる体位の作成に十分に生かすことができる。リハビリスタッフにしか評価できない視点であると思う。

 

しかし、術中の体位がどのようにつくられるか、どのような種類があるかわからなければ活かすことができない。そのため術前評価の視点を術中体位に絞りまとめてみた。

 

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 もくじ

 

興味を持っているか?

手術時間はどれだけか?

体位は?

既往歴から体位作成においての懸念事項はない?

どんな道具を使って体位を作るの?

長時間手術ならば皮膚の状態は?栄養状態は?

異常な骨突出はない?

 など手術を受けるための術中体位について評価するべき点があることに気づきたい。

 

✔︎手術自体に興味を持っているか?

 

背臥位

背臥位は最も手術体位で多くとられる姿勢といってよい。

支持基底面が広く、術中ローテーションをしても比較的安定した体位といえる。

 

種類としては当院では2種類だ。

①肩外転背臥位

②手しまい背臥位

である。

 

適応手術

一般開腹OPE・開心OPE・眼科OPE・脳外OPE(一部除く)・耳鼻科OPE

 

アセスメント 

①肩外転背臥位

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当院では消化器外科の手術で取られることが多い。両上肢が手術進行の邪魔にならない手術の際にとられることが多い。

 

 アセスメントの視点

✔︎外転制限はないか?原因の関節はどこか?

✔︎どの範囲であれば、外転は可能か?

✔︎痛みが出現する具体的ポジションは?

✔︎そもそも背臥位をうまくとることができているか?

✔︎背臥位による腰痛はないか?

 

そして、術後の視点として

✔︎肩関節に新たな痛みが出現していないか?

(大結節による肩峰下内容物の圧迫)

 ✔︎術後の腰痛の増悪はないか?

 

など観察したい。

 

②手しまい背臥位

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 http://www.mizuho.co.jp/pnet/operating/upload/52b2b493be94479608f0a81c2f9ca6fc_2.pdf

当院ではアームシールドを採用している。

上記製品によって両上肢を身体に沿わせるような体位だ。

耳鼻科や脳外科の手術のように両上肢が手術の進行の妨げになる際にとられることが多い。

 

アセスメントの視点

✔︎肩関節の内転制限はないか?

✔︎脂肪の挟み込みによる内転制限はないか?

 

そして、術後の視点として

✔︎肘窩圧迫による尺骨神経麻痺は出現していないか?

を観察したい。

 

まとめ

リハビリスタッフのアセスメントの結果で何か懸念されることがあれば執刀医、麻酔科医、オペナースに伝えてほしい。伝える場合は「具体的に」だ。

 

「このポジションで痛みがでるので、このような姿勢は避けてください。」などと伝えてほしい。

 

 術野の確保と進行が最優先であるため、全ては防ぐことはできないかもしれない。しかしわざわざ痛みがでる姿勢を好んでとる執刀医はいないと思う。

次号。側臥位。

 

 

 

 

 

呼吸

周術期でどう活かす

当院では術前訪問は、長時間手術と特殊体位をとる患者さんに行っている。

手術日の前日に受け持ちオペナースが患者さんの部屋に訪問している。

手術当日の流れや、麻酔方法や体位などを説明して、不安の解消や体位をとれるかのアセスメントなどをしているわけだ。

私は思うのだ。術前訪問はとても有意義のあるもの。大切である。

加えて、術後の無気肺などの合併症を予防するために、簡単に呼吸法(深呼吸)を伝えることはできないかと。

呼吸訓練

なぜ術前の呼吸訓練がいいのか。

呼吸器合併症の予防である。なかでも無気肺予防に効果的であると文献に多数ある。

一回換気量の増加・肺胞の虚脱防止に役立つからだ。

それを術前から患者さんに説明し、術後訪問でも一緒に行えばより効果的になるのではないかと考えた。

しかも比較的、深呼吸の指導は行いやすい。

戦略立てる

よし、実現するにはどうしたらよいか。

まずはオペ室看護師長・術前訪問担当看護師に相談だ。

文献を片手に説明すれば、説得力も増すだろう。

次に呼吸器の医師にも始める旨を伝えたほうがいいだろう。

あとは、リハビリスタッフにも相談だ。なにかよきアドバイスをくれるかもしれない。

結果は追って報告する。

 

 

手術室看護師

手術室看護師には

そもそも。手術室看護師の役割というと2種類がある。

器械出し(直接介助)看護師外回り(間接介助)看護師

器械出し看護師

 いわゆるドラマなどの、

Dr:「メス」

器械出しナース:「はい(渡す)」

のこれである。ドラマからはオペナースの花形とも感じるが、私の印象は実に泥臭い

ドラマで出てくる器械はたかだか「メスやコッヘル、クーパー」くらいか。

実際は科や術式によって使う器械がもちろん違い、その数も膨大。

器械の名前がわからないともちろん手渡せず、当たり前だが怒られる。

怒られる→覚える。怒られる→覚える。実に泥臭い。

 

教科書的には、

手術操作中は医師に術野から目を離させることなく必要な器械・器具・医療材料を素早く、的確に手渡すことが主な役割である。それによって、術者は作業能力を十分に発揮することができ、手術の質の向上・手術時間の短縮につながるといわれている。

 

外回り看護師

 

 実は私もあまりなじみがなかった。学生時代教科書で「ふーん」と思ったくらい。

患者さんが手術室にきて患者さんと最初に会う看護師が外回り看護師であることが多い。患者さんが抱く不安を少しでも軽減させるべく努力をする。

また、手術の進行とともに呼吸・循環・体温の全身面から患者の状態を観察し、急激な変化に対応できるよう準備もする(モニタリング)。

私の印象はコーディネート屋さん。術者や麻酔科医、器械出し看護師がスムーズに効率よく手術に取り組めるよう努める。

 

 

血ガス?

私が外回り看護師をしていた時の事。

麻酔科医:「血ガス40%でよろしく」

私:「了解!」

私は血ガス測定機にかけ走る。

測定器へのセッティング、タッチパネルは手慣れたものだ。

待てよ。そもそも私、血ガス読めないぞ。

次号にて伝達します。

 

世界でいちばん簡単に血ガスがわかる、使いこなせる本: ナース・研修医のための

世界でいちばん簡単に血ガスがわかる、使いこなせる本: ナース・研修医のための

 

 

 

 

 

 

 

できることから

オペ室看護師になって2年が過ぎる。

これまで生きてきた中で一番怒られた。いろいろ萎縮した。

最初にオペ室に配属されたとき、外国に来たかと思った。ちんぷんかんぷん。話してる言葉がわからない。

先輩看護師:「〇〇とってきて!」

私:「…。」

〇〇がどこにあるのか、はたまた〇〇が何なのか分からなかった。重症だ。

でもね。だいぶ余裕がでてきた。なんとなく場所も用途もわかる。

オペ室が母国とまで言わない。カタコトな留学生くらいだろうか。

ワタシはワタシ。

うむ。次なる一手だ。

 

https://www.pakutaso.com/shared/img/thumb/DSCF3253_TP_V.jpg

 

 

私は理学療法士として4年間働いた。

オペ室で何か活かせないものか。

うむ。

体位作成。術前訪問。術前訓練。術中モニタリング。体温管理。

やれそうなことがたくさんあるではないか。

特に周術期チームというものが当院にはある。

私もそのチームの一員だ。

 

周術期管理チーム

周術期管理チームとは、なにをするのかな。

「統合された術前・術中・術後管理を多職種チームで実施する」

むむむ!?何を?。

「術前評価や薬剤管理、口腔機能管理、疼痛管理、栄養管理、リハビリテーション、カウンセリングなど」

ほうほう。

「関連するすべての医療者が患者さんの情報を共有して、担当者がばらつきのない均一な医療を提供する」

お分かりのように、術前から術後、退院までチームでみていこうというものだ。

今思えば看護師長の意図的に計らいによって周術期チームに加わっている気がする。

「お前。OPE室やめる前にここでPTの経験を活かせよ。おら。」って。

言われてる。気がする。

ありがたい話です。

頑張ります。

まずは、術中に「どんな視点でPTが活かすことができているのか」、「新たに何を活かすことができるのか」考えてまとめてみます。