リハビリスタッフが知っておきたい術前評価11の視点~術中体位(①背臥位)編~
リハビリスタッフが術前から関わることは珍しくない。
理学療法士は筋骨格系の知識に富んでいるため、術中体位において安楽で長時間の手術に耐えうる体位の作成に十分に生かすことができる。リハビリスタッフにしか評価できない視点であると思う。
しかし、術中の体位がどのようにつくられるか、どのような種類があるかわからなければ活かすことができない。そのため術前評価の視点を術中体位に絞りまとめてみた。
もくじ
興味を持っているか?
手術時間はどれだけか?
体位は?
既往歴から体位作成においての懸念事項はない?
どんな道具を使って体位を作るの?
長時間手術ならば皮膚の状態は?栄養状態は?
異常な骨突出はない?
など手術を受けるための術中体位について評価するべき点があることに気づきたい。
✔︎手術自体に興味を持っているか?
背臥位
背臥位は最も手術体位で多くとられる姿勢といってよい。
支持基底面が広く、術中ローテーションをしても比較的安定した体位といえる。
種類としては当院では2種類だ。
①肩外転背臥位
②手しまい背臥位
である。
適応手術
一般開腹OPE・開心OPE・眼科OPE・脳外OPE(一部除く)・耳鼻科OPE
アセスメント
①肩外転背臥位
当院では消化器外科の手術で取られることが多い。両上肢が手術進行の邪魔にならない手術の際にとられることが多い。
アセスメントの視点
✔︎外転制限はないか?原因の関節はどこか?
✔︎どの範囲であれば、外転は可能か?
✔︎痛みが出現する具体的ポジションは?
✔︎そもそも背臥位をうまくとることができているか?
✔︎背臥位による腰痛はないか?
そして、術後の視点として
✔︎肩関節に新たな痛みが出現していないか?
(大結節による肩峰下内容物の圧迫)
✔︎術後の腰痛の増悪はないか?
など観察したい。
②手しまい背臥位
http://www.mizuho.co.jp/pnet/operating/upload/52b2b493be94479608f0a81c2f9ca6fc_2.pdf
当院ではアームシールドを採用している。
上記製品によって両上肢を身体に沿わせるような体位だ。
耳鼻科や脳外科の手術のように両上肢が手術の進行の妨げになる際にとられることが多い。
アセスメントの視点
✔︎肩関節の内転制限はないか?
✔︎脂肪の挟み込みによる内転制限はないか?
そして、術後の視点として
✔︎肘窩圧迫による尺骨神経麻痺は出現していないか?
を観察したい。
まとめ
リハビリスタッフのアセスメントの結果で何か懸念されることがあれば執刀医、麻酔科医、オペナースに伝えてほしい。伝える場合は「具体的に」だ。
「このポジションで痛みがでるので、このような姿勢は避けてください。」などと伝えてほしい。
術野の確保と進行が最優先であるため、全ては防ぐことはできないかもしれない。しかしわざわざ痛みがでる姿勢を好んでとる執刀医はいないと思う。
次号。側臥位。