リハビリスタッフが知っておきたい術前評価6の視点~側臥位編~
手術における側臥位ってなーに。
もくじ
適応
肺や食道などの開胸手術、腎臓摘出術、整形外科股関節手術などでとられることが多い。
手術における側臥位
術中は全身麻酔に加えて筋弛緩が効いているため、自己にて体位を保持することは困難だ。多くの病院で使われているのが若杉氏上肢台と側臥位支持器だ。http://www.mizuho.co.jp/pnet/operating/upload/afb62504a2cc7fe37c77ebcdc2a1cf2a.pdf
製品詳細 | 村中医療器株式会社 | Allen 側臥位用支持器セット
視点①
側臥位の実際
実際に患者さんが側臥位をとるとこうなる
注目すべき点は下側になった側胸部に入れた側臥位枕。
当院では大転子部にも大転子枕を挿入している。
側臥位枕・大転子枕とは
下側側胸部に入れることにより、不安定関節である肩甲上腕関節への負担が減るとともに、肩関節屈曲時に上方回旋した肩甲骨の支えとなっている。
体験してみたが、側臥位枕の有無によって全然安楽感が異なる。恐るべし。側臥位枕。
大転子部への枕の挿入は圧分散が主な役割である。
視点②
✅下側になる体幹・下肢に異常な骨突出はないか?
術前評価
側臥位の手術が予定されていれば見ておきたい評価項目を考えていく。
下半身
側臥位は支持基底面が狭く、不安定な体位といえる。
私が側臥位を作成する際に工夫していることは、下半身のポジションだ。
できる限り下側の股関節・膝関節を術野の妨げにならない程度に屈曲させ体位を安定させるようにしている。圧分散にもつながる。
視点③
✅股関節・膝関節に屈曲90度以上の制限はないか?
また、上側になった下半身も過度な内転制限があると姿勢が不安定になってしまう。
当院では大きめのクッションを両下肢の間に挟んでいる。
視点④
✅股関節に過度な内転制限はないか?
上半身・体幹
上半身は見てわかるように両上肢ともに屈曲位である。おおよそ90度は屈曲位をとる。
視点⑤
✅両上肢の肩関節に屈曲制限はないか?何度までなら屈曲が可能か?
肩関節に限ってはとても重要な観察項目である。
実際に肩が屈曲できないために体位作成の際に苦労する症例もある。
上肢が術野の進行の妨げになったり手術時間が延びたり、患者さんに不利益なことが多い。
リハビリスタッフの介入により肩関節の屈曲が可能になることや、どこまでなら屈曲が可能かなど適切な情報を提供してくれることで、手術自体に非常に有益なことが多くなると思う。
また脊柱に側弯があると、側臥位を取った際に手術台との隙間ができてしまい、体勢が不安定になる。
視点⑥
✅脊柱に過度な側弯はないか?
触診技術が得意なリハビリ職種ならではの気づきではないだろうか。
以上、大まかな情報をまとめてみた。
リハビリテーションの時間内に実際に側臥位をとることも1つかなと思う。
何か懸念事項があれば執刀医や主治医・オペ室看護師に伝えてあげてくださいね。